Caltechの特徴

アメリカに来て5か月目になり、徐々にCaltechについての理解が深まってきました。

 

気づいたのは、ここは日本でいうところの一般的な「大学」ではない、という点です。以下に、いろいろな大学のStudents/Faculty Ratio (SF比)を示します。出典はU.S.newsのWebサイトです。

 

Caltech          3:1

MIT                3:1

Stanford        4:1

Princeton       5:1

Harvard         6:1

USC              8:1

UCLA            18:1

UCLongBeach  24:1

San Diego State 27:1

 

CaltechとMITの SF比は3:1と極めて少なくなっています。このSF比に加え、学内には大量のポスドクや技術職員がいるので、ぱっと見ほとんど学生がいません。要するに、学生の教育が機関の主目的ではないのです。日本でいうと東大の生産研などに類似している気がします。基本的に外部の企業や政府援助の研究の受注機関であり、ついでに学生の教育もやっているといったイメージです。ですから、教育を主業務とする日本の地方国立大学などをCaltechと比較するのは見当違いです。そもそも目的が違います。

 

研究外注機関としてのCaltechを支えているのは大学院生とポスドクです。ポスドクに関しては以前も書きましたが、終身雇用制でない点がポスドクというシステムをうまく作用させているように感じます。新卒で就職しても、既卒で就職しても差がないので、それじゃあ企業に行く前にポスドクでもやってみるか、という気になるのでしょう。日本でポスドクまで行ってしまうと就職先がかなり絞られてしまいます。また、アメリカに根付いている寄付の文化もこのシステムを支えている一つの要因でしょう。メーカーも、直接利益につながらないような研究に関しても投資をためらわないように思えます。

 

以上のように日本の大学とは異なるCaltechですが、もちろん学ぶべき点も多くあります。今のところ強く感じるのは「多様性」を大切にする文化です。柔軟なカリキュラムや異分野の研究者間の交流を大切にする点などはぜひ日本の大学でも導入したい気がします。