センター試験改革

急な私用のため、日本に一時帰国していました。その間、久しぶりに日本のニュース番組を見ました。センター試験の改革についての特集が気になりましたので、その件について少し書いてみました。

 

ご存じの通り、2020年度からセンター試験に代わる新しい共通試験が実施されます。マーク式の試験のみだったセンター試験と異なり、記述式などの問題が加わる、とのことです。これは文科省によれば「思考力・判断力・表現力を評価する」ことが目的だそうです。

 

私としては、今回の改革には反対です。今回の改革もまさに、以前このブログに書いた日本の特徴である「画一的な教育システム」思想に基づくものです。記述式試験そのものの有効性を否定するわけではありません。私が問題視したいのは、なぜそこを各大学に一任しないのか、わざわざ共通試験でやるのか、という点です。

 

また、こういった改革が科学的なデータに基づいて行われているのかという点も非常に疑問です。例えばこれまでにも、記述式の問題を出題してきた大学とそうでない大学があったはずで、それぞれ入学してくる学生の思考力・判断力・表現力に差はあったのでしょうか?あるいは私立大学などでは同じ大学でも複数の入試を行っているところがあり、そういった大学の学生を調査することで、科学的なデータを得ることができる可能性があります。

 

これまでのセンター試験は、同じ問題、同じ採点基準で学生を評価するという点で公平な試験であるといえました。2020年度からは記述式問題により採点結果に差が生じる可能性が高いうえ、英語も民間の複数の試験から選択して受験できるということで、公平性という点では明らかに劣るものとなります。第1段階の選抜方法として、まずはより公平な試験の結果を用いるほうが良いと考えるのですが、いかがでしょうか。