工学部

教授などから話を聞く限り、アメリカの工学系の教授はほとんどの人がメーカーと共同研究をしているようです。日本では、周囲を見るかぎりはそうでもない方がたくさんいます。少なくとも、メーカーからの資金が研究資金の大半を占めている、という人はあまりいない気がします。私自身もそうです。

 

こういったことから、現在の日本の「工学部」の問題点が見えてくる気がします。日本の工学部はほぼ「理学部」化しているのではないか、ということです。研究内容の多くが、現象を観察することを主眼に置いたものになっています。

 

こうしたことを招いている原因の一つが、資金の配分の仕方にあると考えます。大学研究者にとって重要な資金源の一つに「科研費」があります。実験計画を研究者が自ら立案し、研究者同士の評価(ピア・レビュー)によって配分を決定する科研費はきわめて理学的な資金配分法といえるのではないでしょうか。

 

より工学的な配分手法を考えるとしたら、次のようになると思います。まず、大方針として、開発すべきもの仕様を決定します。材料でも、機械でも、プログラムでも、何でも構いません。次に、それを開発するために必要な新技術、技術的課題を洗い出します。そうしたのちに、その技術課題の解決方法について公募を募ります。

 

ただ、前にも述べた通り、物事には必ずいい面と悪い面があります。理学部化した工学部にもなんらかのメリットがあるのかもしれません。

 

私はどちらかというと「工学」よりの考え方を持っています。メーカーから信頼され、多くの資金を供給してもらえるような研究者(あるいは大学)になるにはどうすればいいのでしょう?いずれメーカーの方とじっくり話し合ってみたいです。