アポロ50周年

アポロ11号が月に着陸したのは1969年7月。今年で50年になります。50周年を記念して各地でイベントが開かれているようで、ここCaltechでも記念の講演がありました。

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Beckman Auditrium

会場となったBeckman講堂。以前このブログでも紹介しました。

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記念講演

講演はアポロに先立って実施された無人軟着陸ミッション「Ranger」の話と、月の鉱物に関する話の2本立てでした。Rangerの話は面白かったです。1号機から6号機まで、立て続けに失敗だったそうです。関係者はさぞかし苦労したことでしょう・・

 

 

独立記念日

家族がアメリカにきました。またまた更新が滞りそうです。

 

7月4日は独立記念日アメリカは全国的に休日です。Pasadenaのはずれにある、Rose Bowlスタジアムでのイベントに行ってきました。

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Rose Bowl Stadium

ローズボールスタジアムは大学アメリカンフットボールの試合を行うことで有名です。イベントのメインとなる花火は午後9時から。それまで、歌やオートバイのショーなどが行われるということでした。実際行ってみるとスタジアムの人はまばら。スタジアムに隣接したゴルフ場のフェアウエーが駐車場になっているんですが、ほとんどの人がそのゴルフ場の芝の上にキャンプをはり、バーべーキューを楽しんでいます。

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ゴルフ場の芝生

現地の人はこうやって花火を楽しむんですね。花火終了後、道路がひどく渋滞するとのことでしたが、これなら多少駐車場を出るのが遅くなっても問題なさそうです。

 

わが家族は混雑をさけ、花火開始前に早々と撤収。出口で「本当にいいのか?本当に帰るんだな!?」みたいなことを言われました。

 

 

 

ドローン

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CASE

私のいるGALCITではCASTと呼ばれるドローンのプロジェクトが進行中です。写真は少々見にくいのですが、私のいる建物の後ろ側にネットで囲まれたエリアがあり、ここでドローンを飛ばしています。横風対応のために送風機を置いて実験したりしているようです。かなりうるさい!

学部生

6月14日に卒業式があり、Academic yearが終わりました。学生は夏休みに入ります。

 

さて、先週から学部生が一人研究室に来ており、私と一緒に研究をすることになりました。最初この話を聞いたときは不思議に思いました。なぜなら、私の所属する組織は大学院なので、基本的に学部生がいません。この学生はどこから来たのか?話を聞いてみると、Caltechには学部生が夏休みの間他の学部などにいって、研究などに従事できるシステムが整えられているそうです。しかも彼はなんと1年生でした。1年次から研究に触れることができるんですね。

 

実は大学院にも同じようなシステムがあって、こちらはれっきとした授業の一つです。他の研究室に行き、結構しっかりとした研究を行う、いわば大学院生版サバティカルです。おもしろいですね。

 

他の大学はどうなのか知りませんが、とにかくCaltechではこのようなダイバーシティを推奨するような哲学が根付いています。

講堂

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Beckman Auditorium

CaltechのシンボルといえるBeckman講堂。東大でいえば安田講堂名古屋大学でいえば豊田講堂、といったところでしょうか。今日は大規模な学会が学内で行われているようで、珍しく講堂が開いていました。

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講堂内部

中はこんな感じ。まあ普通の講堂ですね。

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Caltechマーク

壁にCaltechのマークが映し出されていました。かっこいい!

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Beckman

講堂の名前になっているBeckmanさんの胸像です。CaltechのOBで、講堂を建てる資金を寄付したんだそうです。

 

アメリカは寄付の文化が根付いています。学内のほとんどの建物が寄付金によって作られており、それぞれ寄付をしてくれた人の名前がついています。アメリカの(一部の)大学の資金が潤沢なのはこの寄付の文化によるものです。アメリカの金持ちはとことん金持ちなので、相当な額を大学に寄付してくれるんですね。ただ、おそらく寄付金は一部の有名大学に集中していると思われ、大学間でも貧富の差が広がる結果につながっています。

 

日本ではこのような寄付を期待するのは文化的に言って無理でしょう。なんとなく、寄付というのはキリスト教的な考えに基づいている気がします。日本の場合は税金でお金を回収し、それを配分することで同様の役割を果たしています。その結果、配分は比較的平等に行われ、格差の少ない大学運営が行われることになります。半面、アメリカのトップ校と対等に渡り合おうとすると、圧倒的に不利になります。この辺も日本の画一性を好む文化が色濃く反映されている気がしますね。

結果を評価する

それから、行き帰りの飛行機で考えたことをもう一つ。

 

日本の大学関係の予算申請は変わっていて、基本的に結果を評価しません。計画を評価します。例えば大学改革を実施するのに文部科学省に予算を申請するんですが、基本計画書を作成し、計画書に対して評価がなされ採択が決定されます。科研費なども同じです。大学の教員は9月ごろになると一斉に申請書を書きはじめ、10月に提出し、ピアレビューと呼ばれる研究者同士の(計画書の)評価で採択が決定されます。予算を得るには研究そのものよりもこの計画書の執筆が重要で、学内で計画書執筆に関する講習会まで開かれたりします。

 

私は以前からこのシステムに疑問を持っていました。論文など、結果を評価して、結果に対して研究費を分け与えたほうがよくないですか?そうすれば皆よい論文を書くことに尽力します。また良い論文をかくということはすなわち良い研究をするということですから、研究そのものにも力が入ります。

 

とにかく、あらゆるところで「計画評価」「事前評価」みたいなものがはびこっています。「国際共同研究」なんかもその一つです。昨今は国際共同研究に対し補助金が出たりしますが(これも申請書が評価されます)、そもそもなぜ国際共同研究が必要なのか。国際共同研究することで斬新なアイデアが生まれ優れた研究成果が出る、というのがよく言われるメリットですが、これも国際共同研究そのものより優れた研究成果のほうを評価すべきでしょう。まあ、国際共同研究の場合は教育的なメリットもあるので、一概にはいえませんが。

 

この「計画評価」「事前評価」も、日本人の国民性なのでしょうか?

センター試験改革

急な私用のため、日本に一時帰国していました。その間、久しぶりに日本のニュース番組を見ました。センター試験の改革についての特集が気になりましたので、その件について少し書いてみました。

 

ご存じの通り、2020年度からセンター試験に代わる新しい共通試験が実施されます。マーク式の試験のみだったセンター試験と異なり、記述式などの問題が加わる、とのことです。これは文科省によれば「思考力・判断力・表現力を評価する」ことが目的だそうです。

 

私としては、今回の改革には反対です。今回の改革もまさに、以前このブログに書いた日本の特徴である「画一的な教育システム」思想に基づくものです。記述式試験そのものの有効性を否定するわけではありません。私が問題視したいのは、なぜそこを各大学に一任しないのか、わざわざ共通試験でやるのか、という点です。

 

また、こういった改革が科学的なデータに基づいて行われているのかという点も非常に疑問です。例えばこれまでにも、記述式の問題を出題してきた大学とそうでない大学があったはずで、それぞれ入学してくる学生の思考力・判断力・表現力に差はあったのでしょうか?あるいは私立大学などでは同じ大学でも複数の入試を行っているところがあり、そういった大学の学生を調査することで、科学的なデータを得ることができる可能性があります。

 

これまでのセンター試験は、同じ問題、同じ採点基準で学生を評価するという点で公平な試験であるといえました。2020年度からは記述式問題により採点結果に差が生じる可能性が高いうえ、英語も民間の複数の試験から選択して受験できるということで、公平性という点では明らかに劣るものとなります。第1段階の選抜方法として、まずはより公平な試験の結果を用いるほうが良いと考えるのですが、いかがでしょうか。